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‘女性運転士’になる夢をみつけた清水運転士の場合 |
うっとりするほど、やさしい運転と美しいアナウンスでした。
東京の学校からUターンし、最初は静岡駅ビルにあるお惣菜屋さんに就職しました。 店頭で惣菜をつくり、接客・販売するお仕事でした。そんなある日、たまたま乗車したバスの女性運転士さんのやさしい運転と美しいアナウンスに「ステキだなぁ」とうっとりしてしまいました。それが私の転職のきっかけです。 なぜ思い切れたのか、自分でもよく分かりません。運転が得意なわけでもありませんし、ふだん乗っていた車は軽のオートマチックの車。体も小柄ですしね。入社後の大型2種免許の取得も、当然ながら苦戦しました。卒業検定に数回落ち、何とか合格できたほどです。‘ここまできたら何が何でも’と、必死にがんばり抜きました。 |
バスの運転士さんというと、寡黙で武骨な職人さんという雰囲気ですよね。ところが実際にお話しすると、そんなイメージは吹き飛んでしまいました。私を呼ぶのにも名前をもじったアダ名を気さくに連発するので、びっくりしました。同じ制服を着ていても、それぞれに個性的な方ばかり。自宅に音楽スタジオをつくって作詞作曲している方、お嬢さんの描いたマンガをほくほく顔で見せてくださる方、スマホで撮った愛猫の写真にデレデレの方……。お話しも面白く、いい社会勉強になります。
お客さまの「ありがとう」がうれしい日々です。
バス運転士になって3年目。 お客さまの「ありがとう」がうれしい日々です。最初のうちは、あまり深く考えていませんでしたが、「お客さまが感謝を口にされるのも勇気がいることだと思う」と先輩女性運転士が話してくれたことがあり、以来、ひとつひとつの「ありがとう」が深く心に響くようになりました。いろいろな先輩方に恵まれて、今日も路線バスを走らせています。安心して眠ってしまうお客さまを増やしたい…なんて生意気かな。
遅延しそうになって、焦る自分に冷静に、と言い聞かせます。 気がつくと、お客さまへの気配りがおろそかになってしまう時も。 それでも営業所に帰り、車内を点検し、バスのドアを閉めたあとの達成感は何とも言えません。 |
お客さまがご要望を言葉にされることは少なく、言葉にされないご要望ほど大切なことだと感じています。
何を求めていらっしゃるのか?それを汲み取り、お応え出来れば、より深いご満足がいただけ、そのご様子が私を幸せな気持ちにしてくれる……。前職の接客・販売を通して、こうしたことを学びました。では、バスに乗るお客さまが一番求めていらっしゃるのは何だろう。
答えは「安心」いつも安心を届けられる運転士になりたいと思います。お客さまがぐっすり眠っていらっしゃると、とてもうれしくなるのです。いつの日か、高速バスを颯爽と走らせることが私の夢です。
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